花嵐@神楽坂die pratze (recommend)

(公演は終了しました。ご来場のみなさま大変ありがとうございました。)

花嵐の三人と出会ったのは、たしか1999年頃だったと思う。
セッションハウスでリハをしていて、ロビーですれ違っただけなのだが、私にとっては何か強烈な体パワーを感じておののいた記憶がある。実際に再会して、身長がすごく高いというわけでもないのだが、その時はとても大きな印象だった。すごいエネルギーを体から発していて、「恐い」とさえ思ったものだった。
それから7年たって、去年の夏に始めてちゃんと面識を持った。
それは、オーストラリアとのダンスエクスチェンジという企画で3組ずつアーティストが参加して日本とオーストラリアでワークショップや公演を行うというものだった。出発地の大阪で、始めて彼女らの作品を観ることができた。そして、本当にすごかった。体からのエネルギーが!
作品は「果肉06」というもので、シャツを脱ぐ途中で、シャツを掴んでいる手もろとも、顔を覆っている状態そのままで、つまりオッパイを出して踊るというものだ。そのオッパイは程なく顔に見えてくる。というより、おへそあたりが口で、オッパイが目のようにハッキリと見えてくる。その顔が明らかに会話をしているように見えてくる。そして、会話の内容はよく分からないけれど、そのうち感情的になる、ように見えてくる。そして、そこは顔であると同時にその感情が起きているときのお腹の中の状態を反映させていると感じた。私は自分の作品『私的解剖実験-2』の中盤で、肋骨やその周辺の状態を変化させることで、感情を極端から極端に変化させるという試みをしたことがあって、その自分の実感にとっても近いと感じる瞬間があって本当に驚いた。後半では、シャツが落下して戻り、体が非常にクッキリとしたフォルムを作りながら、そのフォルムの奥底にある激しい捻れから溢れるような感情が立ち上るように感じるシーンがあり、圧倒された。
また、オーストラリアでは交換ワークショップを行った。そして他の人のワークショップで踊る彼女らのパワフルさ、どんなこともギリギリまで体を投げ出して自分の中を光らせる姿に感動した。彼女たちのワークショップも非常に興味深かった。観客から見える体の動きや形よりも前に、その水面下にあるさまざまな要素を大切にするという部分に深いシンパシーを覚えた。
今回の作品は、「オンナの肉の持つ整理できないグチャグチャ感」を劇場に持ち込むそうだ。私の体にも、そういったグチャグチャした部分を実感する。私自身は、それがちりぢりに色々な部分に点在しているように感じる。彼女たちの舞台を観たときに、私の肉がどのように反応するのか楽しみだ。女性の肉にとっても男性の肉にとっても、これは貴重な体験になることだろう。