101223 ヨコラボ ’10 ショーイング

ヨコラボ '10 ショーイング 1ーYokoLab '10 (Yokohama Performing Arts Laboratory)

STスポット主催の「ヨコラボ」は、「ラボ20」の派生プログラムとして去年から始まりました。去年、私が「ラボ20」のオーディションを経験したとき、長い目でみて模索できる場があったらもっといいのになあと思ったのが始まりで、提案して始まりました。今年は二年目で、状況も参加者も全く違いますが、それぞれが切実な思いで取り組んでくれています。

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「ダンス」という言葉が何を指すか、そもそもそういった時点で共通の足場がない私たちは、それぞれに様々な状況の中からダンスの前提を固定してきた。それは、どのようにダンスを始めるか、何に憧れるかによって決まって行く。様々な次元の正しさがあって、それに縛られる。しかし、どのように体が動きたいか、止まりたいか?あるいは何を感じ、どうせざるを得ないのか?という問いの答えは、本人の無意識の領域の奥に潜んでいて、「正しさ」という観念に押しつぶされている事が多い。そういった、潜在的な欲求をどのように引き出し、「良き無自覚さ」を殺さないように(自意識過剰にならずに)、また自分に嘘をつかずに、それらを相対化する自覚的な手法を手に入れる事ができるか?それが私のコースにおける取り組みだ。

そのためにまずやっているのが、「目的意識」を取り除く。例えば、どのような見栄えにするか、表面的なテーマの提示、「衝動」と思い込んでいる演技、それらのすべては、どのように見せるか?という目的意識と言える。「どのように見せるか?」という問題は、潜在的な欲求が鮮明に見えた後に試行錯誤するべき命題だ、と腹をくくることによって、別の可能性が開けてくる。

そうはいっても、必ずと言っていいほど、目的意識に足を取られる。それはなぜか?と言えば責任感からだ。作品として提示するからには見ている人に責任をとらなければならないという気持ちが、はっきり分かるテーマや、見栄えや、「エネルギーの強さ」を提示しようと努める。しかし、それは本人の潜在的欲求から遠い事が多い、つまりリアリティーがない。自分にとってのリアリティーというのを自分で判断するのは実は難しい。そのセンサーをどのように磨くか?ということも、技術の一つだ。

具体的には以下のような取り組みをしている。

1)目的を取り除いて、目の前のどうでも良いことから、リサーチする。無自覚な状態に身を任せてみる。例えば、思いついた事を絵にする。それを観察して、他の物に置き換える。さらにそれを観察してまた別のものに置き換える繰り返し、など。
2)偽の目的意識を作り、それに夢中になることで、道がそれたりしていくことに身を任せる。
3)自分が何を感じているか?どう感じているか?に敏感になる。言語化し、さらにそれを相対化するために、逆の意味に当たる物事をさがしてみる。
4)ある体の状態、ある動きに対して、全く正反対の状態や動きを探す。など、捉えにくい物事を相対化して、配置する。そのことによって別の角度から物事を同時に視る感覚を得る。

私たちは、これらの取り組みによって、個人的な技術を手に入れようとしている。そのためには、責任感を一度取り払って、転ぶ事、恥をかくことを厭わないと腹をくくらねばならない。自転車の運転と同じように。

中間発表は、技術を手に入れようと手を伸ばし、転ぶことを繰り返すことになるだろう。 

自己探索型--ソロ・デュオコース・オブザーバー 手塚夏子

【日程】
 2010年12月23日(木・祝)
  15:00〜 他動振付型--集団創作コース
  16:30〜 自己探索型--ソロ・デュオコース
  18:00終了予定
(開演30分前より開場・受付開始)

【会場】 急な坂スタジオ
 横浜市西区老松町26-1
 会場お問い合わせ先 045-250-5388
 http://kyunasaka.jp/access/index.html 
 京浜急行線 日ノ出町駅から徒歩8分
 JR・市営地下鉄線 桜木町駅から徒歩12分

【オブザーバー】
 手塚夏子(自己探索型) 中村達哉(他動振付型)
【アシスタント】
 光永由佳 高村美郷

【出演】
(他動振付型) 大谷恵理子 岡村泰子 くわはらみちこ 佐久間尊之
        芝崎知花子 田村倫子 鳥塚英玲奈 西村香里 古里春菜 
      星野さゆり 目澤芙裕子 森 潔 優司 横尾ふみえ 吉川千恵

(自己探索型) 植竹素子 佐渡島明浩 篠原 健 
中山貴雄 成川史華 西尾佳織
http://stspot.jp/schedule/-10-yokolab-10-yokohama-perfor.html