私の背骨の話

私の背骨は腰のあたりで少し湾曲し、ねじれている。むろん誰にでも背骨にある程度の歪みはあることで、特別な事ではない。私は体の観察をしつこくやり続ける過程で、私の背骨の歪みについてある発見があった。それは感情との関係についてである。
背骨の歪みは、床に仰向けに寝て、足を曲げたり、その足を両手で持って背中を丸めたりすると、床に接触する背骨のゴツゴツとした感触でよく分かる。いつもダンスのリハーサルなどで体をほぐす過程でやることも多い。そして、その歪みは日によって弱かったり強かったりすることが分かってきた。そして、歪みが強くなるとき、私自身とても腹が立っているような時であることに気づきはじめた。どうやら、背骨がねじれるのは、私の怒りと深い関係があったようである。腹が立ったときにどんな身体の状態になるか想像できるだろうか?例えば雑巾を強く絞るような動作をしたくなると言ったら大袈裟だろうか?でも私には「怒り」と「ねじれ」は何かピタッときた。
その湾曲とねじれが小学校の高学年の時に初めて「側湾症」と医者に診断されたことを思い出すと、きっとそのころに大きな怒りを背骨に貯め込んだのだろうと想像できる。そうやって、私自身の体に貯め込んだ様々な歴史をひもとくことができるのはゾクゾクとする。
そして、腹が立ったとき、その歪んでる部分を緩めるように心がけると、さほど腹が立たなくなってくるのはとても不思議なことだ。そうやって人と関わる時の感受性が変化し、またそれに呼応するように人も私に関しての感受性が変化するということを肌身で感じることが出来た。たかが背骨一つのことである。